機能訓練とマッサージ 慰安目的なら自費でどうぞ

最近ではあまり言われなくなっている感もありますが、念のために最初にマッサージについて整理をしてみます。

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
第十二条  何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法 (昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。
— あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律

というのが法律上の定義です。
マッサージは「あん摩マッサージ指圧師免許」を所持しなければならないとあります。

また、厚労省は以下のような見解も出しています。

特定の揉む、叩く等の行為が、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法(昭和22年法律第217号)第1条のあん摩マッサージ指圧に該当するか否かについては、当該行為の具体的な態様から総合的に判断されるものである。

御照会の事例については、その行為の強度、時間等によっては、同条のあん摩マッサージ指圧に該当する場合もあると考えられるが、御照会の内容だけでは判断できない。
しかし、施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当するので、無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行うようお願いする。
また、同条のあん摩マッサージ指圧が行われていない施術において、「マッサージ」と広告することについては、あん摩マッサージ指圧師でなければ行えないあん摩マッサージ指圧が行われていると一般人が誤認するおそれがあり、公衆衛生上も看過できないものであるので、このような広告を行わないよう指導されたい。

— 「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に関する疑義照会について(回答) 平成151118日 医政医発第1118001

 

さらに、

 

1 医業類似行為に対する取扱いについて

(1) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復について

医業類似行為のうち、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第十二条及び柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第十五条により、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならないものであるので、無免許で業としてこれらの行為を行ったものは、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十三条の五及び柔道整復師法第二十六条により処罰の対象になるものであること。

(2) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について

あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二により同法公布の際引き続き三か月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者でなければこれを行ってはならないものであること。したがって、これらの届出をしていない者については、昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。

— (平成三年六月二八日) (医事第五八号) (各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)

 

えーと。よく分かりません。
が、言葉として「施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行う」とありますので、施術を受けている方が「痛い」と思った時に施術していた人が無資格だった場合は法律違反ということになります。一方で「医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象」とありますので、人体に危害がなければ禁止処罰の対象では無いということでもあります。その他厚労省は「無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止に努めている」との通知も出しています。

さて、ここまでが前提です。
スポーツマッサージ、足つぼマッサージ、クイックマッサージ、美容マッサージ
実は世の中にはマッサージという言葉が溢れかえっているわけですね。
今回はマッサージの定義をすることが目的では無いので、ここを突き詰めるつもりはありませんが、言葉一つでもこれだけややこしいものですし、その施術方法自体も千差万別です。

共通するのは「手技」であるということくらいでしょうか。
(これすら、電動マッサージチェアというものもありややこしいのですが)

さて、我々介護施設において「マッサージします」という施設は結構多いのですが、ここで取り上げるマッサージとは何なのでしょうか?

基本的に介護施設で行うマッサージは慰安目的であることが多いです。いやいや、硬くなった身体を治療としてマッサージでほぐしてあげている!と反論する人は資格はお持ちでしょうか?

そうなのです。慰安目的以外でのマッサージを実施しているとすれば、それは法令違反に該当する可能性があるのです。というわけで、私は機能訓練の際のほぐしにもマッサージという言葉は避けてきました。(スタッフにも使わないよう指示を出していましたし、取材記事に「マッサージ」と書かれた際には抗議したくらいです)そもそもマッサージは血流を改善することで身体に良い効果をというのが主目的です。ですからマッサージを行なって筋肉はほぐれます。が、硬くなった関節はそのままですし(血流改善による効果は多少あるかもしれません)、筋力アップになることはありません。

機能訓練の事前手段(もしくは実施後のほぐし)としてのマッサージは有効ですが、マッサージのみを行うことは機能訓練にはならないのです。この辺りをしっかりと理解している機能訓練指導員などが行う手技施術であれば、「ほぐし」に加えて「ストレッチ」や「抵抗運動」「関節可動訓練」は必ず行います。

「動かすのは疲れるし嫌だからマッサージだけしてよ」とか「本人が満足なんだから揉んでくれれば良いの」とか言われることもあるのですが、それは機能訓練ではありません。「慰安目的」のみであるならば、公的な介護保険施設は利用ぜずに自費で民間の施術を受けるべきです。

もちろん治療が目的ならば医療機関で行うのは当然です。

聞いた話では順番にマッサージを受けて、あとは他利用者や職員と雑談して過ごしている通所があるとか。
もちろん機能訓練加算算定とのことですが、公的資金の悪用ではないのか?と思います。

個人的には線引きを明確にすると同時にもう少し保険外も取り混ぜやすくして、慰安目的の人は自費で施設内で(提供時間に含めないで)民間の施術を受けられれば良いと思います。

 


柔道整復師(厚生労働省認定国家資格) 
機能訓練指導員・生活相談員
施設運営コンサルタント
日本通所ケア研究会認定 リハビリケア専門士 
シナプソロジー認定コーポレートインストラクター
株式会社ココラッセ 代表取締役 渡邉賢司

一号店のデイサービス ここらっせを2011年に開設。高齢者向けの運動・脳トレの各種講習会を開催。
新たなサービスやアクティビティの情報収集を常に欠かさず、時に日本全国の施設や企業へ視察を行い、
施設内で提供できるサービスの新鮮化に取り組んでいる。また、残業の発生しない効率的な業務改善や
助成金や補助金を導入した画期的な施設運営の実施。中でも中小企業庁の経営革新計画の認定を受ける他、オリジナル
マスコットキャラクターを導入するなど従来の一風変わった広報戦略について業界紙や一般紙からの取材も受ける。
他法人の都内事業所はもとより九州や東北地方などからも事業所の運営についてアドバイスを求められるている。

にほんブログ村 介護ブログへ